続いて特許行政年次報告書2024年版、実用新案登録出願を概観してみました。
今年の報告書
昨年のブログ
目次
1.日本国の実用新案登録出願件数推移
2023年は出願が微増しています。といっても持ち直したという感じでしょうか。2020年はマスク関係の出願のようですが何が増えているか。この観点は分析したことはないですが、分析しても面白いかもと思いました。
ちなみに、下記が特許出願の傾向は微増でしたので、実用新案登録出願と同様の傾向です。特許出願している出願人が実用新案登録出願もしていると仮定すると、双方相関があるのはなんとなくイメージできますが、特許出願と実用新案登録出願している出願人が別であれば、日本全体として、研究開発が活発になってるということでしょうか。いろいろ仮説は立てれそうです。
2.日中韓の実用新案登録出願推移等
まず、日中韓の実用新案登録出願について、ちょっとおさらいで、昨年調べた簡単な制度比較を記載しておきます。
日本:無審査で早期に登録できるが、権利行使に技術評価書が必要。
中国:無審査で登録でき、かつ、権利行使に技術評価書が不要。
韓国:審査有だが比較的登録されやすい。ただし、権利解釈は狭くなる可能性が有り。
(1)中国
中国は、制度的にも日本とは異なりためと思われますが、出願は高止まり(高水準で安定ともいえる)しています。
ただし、日本人による出願は減少傾向です。特許で権利取得できればよいし、費用対効果を考えて特許だけでよいと判断しているためかもと考えました。しかし、下記に中国における特許出願と実用新案登録出願を比較のため並べてみると、日本人の中国での特許出願も微減しています。ということは、日本人の中国への特許出願・実用新案登録出願は、厳選して出願するようになったのかもしれません。
(2)韓国
韓国は、昨年から引き続き減少傾向です。そろそろ下げ止まるかなといった状況です。
同様に、下記に韓国における特許出願と実用新案登録出願を比較のため並べてみました。特許出願が横ばいか微増となので、純粋に特許出願だけで十分と考えている出願人が多そうです。
3.まとめ
- 日本の実用新案登録出願は、少し持ち直した。→どういった出願が増えたか気になる。
- 中国は高水準で高止まり。ただし、日本からの出願は微減。→日本からの出願は厳選するようないなった?
- 韓国は、減少傾向。特許は微増。→特許で十分と考えられている?
実用新案登録出願制度は、国により制度運用がたいぶ違うので、出願する際は、特許以上に明確な目的をもって制度を利用したほうがよいと思います。
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