特許行政年次報告書、第2段として、実用新案登録出願です。
1.日本国の実用新案登録出願件数推移
全体的にみると減少傾向です。
実用新案は、無審査登録主義の採用により早期権利化等メリットはありますが、審査がない分権利の安定性という点では、少々使いにくいというのが現状がもしれません。
多くの特許出願が大企業であるという点を考慮すると、わざわざ出願するのであれば実用新案は選ばないといったところでしょう。
ただし、2020年はマスクの需要により、出願が一時的に増加しています。ということは、物品の構造、形状、または組合せに関する簡易な発明が多くされれば実用新案権の需要はまだあるといえるかもしれません。
参考:コロナ禍により、実用新案の出願増⁉(2021/08/30)
2.日中韓の実用新案登録出願推移等
(1)中国
中国の出願は、かなり多いですが制度が特徴的ですね。とくに、特許と実用新案同日出願が可能で、、実用新案出願を先に権利化し、後に特許出願が登録要件を満たす場合に実用新案権を放棄することにより特許出願の権利化を図るなんてことも可能。
さらに、新規性、進歩性、実用性の実体審査がなく、権利行使も技術評価書みたいなものも不要。
これは使いやすいですね。
参考:中国における実用新案制度の概要と活用(2020/4/28)
(2)韓国
韓国は、1998年無審査登録主義になり、2006年に審査主義に回帰とのこと。審査ありにしてもこれだけ減っているということは、実用新案登録出願をするくらいなら、特許出願でよいって判断みたいですね。
あと、特許よりは容易に登録されるが、権利解釈においては特許権より狭く解釈される傾向があるらしい・・。
参考:韓国知財の最新動向(2021/05/31)
参考:韓国における実用新案制度について(2020/06/02)
3.まとめ
今回は、実用新案について確認しましたが、特許に近い部分もありつつ独特な特徴があるため、出願件数も特許とのバランスを考えつつ確認していく必要があります。
さらに、外国と比較するときはなおさら制度の理解が大切になります。簡単にまとめてみます。
日本:無審査で早期に登録できるが、権利行使に技術評価書が必要。
中国:無審査で登録でき、かつ、権利行使に技術評価書が不要。
韓国:審査有だが比較的登録されやすい。ただし、権利解釈は狭くなる可能性が有り。
今回、さらっと調査しただけですので、もしかしたら間違いがあるかもしれませんので、気が付いたら修正します。
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