知的財産推進計画2023の内容確認2回目です。(全4回)
・知的財産推進計画2023
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku_kouteihyo2023.pdf
・知的財産推進計画2023の概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku2023_gaiyou.pdf
今回は、順を追って下記2項目です。
3.生成AIと著作権
まず前提として、2017年3月に下記のように示された。
・AI 生成物を生み出す過程において、学習済みモデルの利用者(以下「利用者」という。)に創作意図があり、同時に、具体的な出力である AI 生成物を得るための創作的寄与があれば、利用者が思想感情を創作的に表現するための「道具」として AI を使用して当該 AI 生成物を生み出したものと考えられることから、当該 AI 生成物には著作物性が認められる。
参考:情報財検討委員会「新たな情報財検討委員会報告書」(2017年3月)
当該資料に「具体的に検討を進めることが適当な事項等」と記載されており、著作権法30条の4但し書きが整備されたものの、6年たった今、生成AIの発展もあり、「不当に害することとなる場合」について、議論されることが多くなってきている。
2023年現在では、たしかに30条の4但し書きに関連する話を、ちらほら目にするようになった。著作権法の性質上、個別具体的に検討することが必要な部分が残るのはしかたないが、皆がわかりやすいガイドライン的なものは欲しいところ。
4.「知財・無形資産の投資・活用促進」の実現に向けて
知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2には、コミュニケーション・フレームワークが記載されている。
(1)企業の事業ポートフォリオにおける現在の位置付け(As Is)から、どのようなシナリオで、目指すべき将来の姿(To Be)に到達させるかという「ストーリー」。
(2)その実現性を、自社の知財・無形資産(既存のもの・新たに獲得しようとするもの)を今後新たに構築又は再構築しようとする事業モデルの強みにどのようにつなげようと企図しているのか、この両者を接続する「企図する因果パス」の明確化により示すこと。
(3)その際に、これらの打ち手と投資を事業上の成果や経営指標(ROIC等)を紐付けて可視化する。
無形資産が重要なのは、なんとなく理解できるとしても、それを用いて投資家等ステークホルダーに説明するのは難しいところ。
ただ、例えば企業の事業ポートフォリオにおける現在の位置付け(As Is)については、いわゆるIPランドスケープを用いることにより説明は可能と思われる。
その他の項目についても、特許情報等知財情報を用いて、上記のコミュニケーション・フレームワークを実現していくことについては、企業の知財部が貢献できるのではないだろうか。
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