知的財産推進計画2023が6月9日に公開されていましたので、遅れながらも内容を確認しました。内容の簡単なご紹介と、個人的なコメントを少し書いてみたいと思います。
・知的財産推進計画2023
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku_kouteihyo2023.pdf
・知的財産推進計画2023の概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku2023_gaiyou.pdf
以下、概要のスライドの項目を順に記載します。
今回は、2項目について書いてみました。
1.基本認識
基本認識の項目は、全体の概要といったところ。
(1)マークアップ率が低水準
マークアップ率が低く、研究開発に投資ができていないという循環になっているというのは、たしかに感じる。削るべきでない予算まで削ことになるのは、よくありそうな話である。
(2)特許の創出力とグローバルなブランド価値を持つ新事業創出力がアンバランス
内容を見ると、商標登録出願(外国ではこれに対応する出願)と、ブランディングを紐づけて記載されているようだが、マクロ分析の結果のみ記載されているので、さらに分析が必要に感じる。
ブランディングで、著名な企業の登録商標がどのように出願してるのかも個別に確認したほうがよいと思う。
(3)オープンイノベーションによる持続的な価値創造
大企業とスタートアップとの協業では、スタートアップファーストの考え方が重要との話も聞く。たぶん大学の場合も似たような問題があると思われる。
コンソーシアム等、企業連合の場合、どこまで自社の知財を他社に使ってもらうか、この場合も守りに回りすぎると良い結果にならないと思う。
スピード感をもった事業化には、どのようにリスクマネジメントをするかが重要そうだ。守りに回りすぎて、事業化が進まなかったら意味がない。
(4)生成AI技術
これは最近一番ホットな話題。この資料だけでなく現在でている他の見解も含めて整理したほうがよいかもしれない。
ただ著作権の性質上、ある程度ガイドラインを決めて、個別具体的にみていくことになるのではないか・・とも思われる。
(5)コンテンツの国民経済上の重要性の高まり
デジタル時代のコンテンツにクリエイターの能力と意欲を最大限に引き出すことが目的。
法律・制度の問題として、どのようにサポートしていくかは気になるところ。
2.スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
ここから、各論に入っていきます。
大学の最先端の研究成果をどのように社会実装につなげるか、といった問題。
そのためには、下記のようなエコシステム全体で知財の社会実装機会の最大化を図ろうというもの。
(1)大企業の事業化の力
事業化という観点みると、大企業の力を使ってしまうのがよいとは思うが、ここで肝心の大企業の事業化の力をいった点が不足してると、なかなか事業化できないことになってしまう。
大企業の新規事業立ち上げの力も、レベルアップしていく必要がありそうだ。
(2)大学における知財の専門家
とくにビジネスの観点から知財を見ることできる人材が少ないのではないかと思われる。これは大企業であっても同じようなことがいえそうだが、とくに大学となるとなおさらという意味で。
こういった人材が増えてくれば、同時に特許の質もあがってくるのではないか。
(3)法制度の問題
法的な問題や、契約の問題で、大企業と大学の間の契約でお互い有利な契約を探り合いすぎて動きずらくなってしまっては、スピード感をもった事業は遠のき本末転倒となってしまう。
この点は、法的な解決というより、ガイドラインを作成する方向で進んでいるようだ。あとは、各々のビジネス面も含めた考え方がどのように変わっていくか、といったところだろうか。
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