物流業界をある程度知っておいた方がいい状況になったので、読みやすそうな書籍を探し読んでいます。
いろいろ調べると、物流では角井亮一氏の書籍が有名ということと、内容的にも読みやすかったので、この書籍を選びました。
- 序章:なぜ、物流戦略なのか?
- 第1章:アマゾンの物流戦略
- 第2章:ニトリの物流戦略
- 第3章:アイリスオーヤマの物流戦略
- 第4章:ZARAの物流戦略
- 第5章:DHLの物流戦略
- 第6章:オムニチャネルと物流戦略
- 終章:物流戦略の4C
- 全体を通して
序章:なぜ、物流戦略なのか?
物流は企業戦略の一部として考えるべきであり、それを実現している企業としては、現場部門と企画部門がわかれているとのこと。
現場では、物流の全体を把握することは難しいし、企業戦略にそった物流を組み立てる上では全体を俯瞰し全体最適を考えていかないといけないのは理解できることである。
第1章:アマゾンの物流戦略
顧客第一主義という理念のもと必要なことに投資をしている。
その中で、アマゾンは物流に関し積極的にいろいろな方法にチャレンジしており、研究開発投資の金額も大きいものである。
ベゾス氏退任のときのメールからも発明が重要と語っている。
こういったチャレンジを積み重ねているからこそ、宅配クライシスを乗り越えられたのだろう。
第2章:ニトリの物流戦略
ニトリは独自の物流システムを構築しており、サプライチェーン全体でコストダウン削減を図っている。品質面においても、自動車会社の品質管理手法を取り入れ品質向上に努めた。
グループ内分業により自社のやりたいことに適応した物流システムを構築することにより、これらのことを可能にした。
すべてを自社でやるのは一見効率が悪そうだが、自社の一番武器となる部分は自社で完全に管理できる体制を構築することが重要といえるだろう。
第3章:アイリスオーヤマの物流戦略
アイリスオーヤマは、業態メーカーベンダーシステムであり、それは製造機能(メーカー)と問屋機能(ベンダー)を有するものである。
これから成長する業態に合わせて、製品づくりを行い供給機能も果たしていくというものであり、そのためには次々に製品のアイデアを出す必要がでてくる。このアイデアをたくさん出すための社内システムもアイリスオーヤマの武器となっている。
肝心の物流に関しては、どの商品に配送費がどれくらいかかっているか把握することが可能で、管理会計上、製造原価として扱っている。また、物流立地・物流設備を優先して立地を考えている。「物流センター内に工場を作る」という発想である。
この発想により、売れるものをスピーディーに作りいち早く小売店へ届けることを徹底し、在庫を極力もたない状況が生まれてくる。
アイリスオーヤマも、これらシステムを自前主義で物流をコントロールしている。
第4章:ZARAの物流戦略
在庫回転数が良いのが特徴で、取引先からの注文で製造を考えるのではなく、その先にある販売(お客が買ってくれるかどうか)からモノづくりを考える。商品の動きが止まりかけたとき次のものを一気に作るという方法をとっている。
物流に関しては、サプライチェーンのほぼすべてを自社で構成し、物流に関する研究開発投資を積極的に行っている。
ZARAも物流に関しては自前主義である。
第5章:DHLの物流戦略
DHLは、ここまでの紹介した企業と異なり、用意周到にM&Aを行い大きくなってきた物流の会社である。
業務委託できる事業は業務委託を行い。自社グループの配送を専門に行っていた宅配事業を、他社向けに開放したりと市場でのシェアを広げている。
自社での具多的な取り組みとして、急成長中のeCommerceへの対応として①密度増②自動化促進③BigB増という取り組みを行っている。
また、テクノロジーへの投資として、①ドローン配送システム、②PostBOT、③EV車開発の企業買収、④In Car Deliveryという分野に積極投資をしている。
DHLは、物流に関してできることを増やすためM&Aを行いつつ、他社に任せるところは任せる。提供できることは提供する。という方法をとっている。
ただM&Aをするだけでなく、将来やりたいことをイメージしつつ、少しづつM&Aを行い、たりないテクノロジーは自社で積極的に開発も行うといった企業でよくわかる。
第6章:オムニチャネルと物流戦略
オムニチャネルとは「どんな注文方法にも、どんな受け取り方法にもたいおうする、お客様満足度の高い商売の仕組み」と本書では定義している。ちょっとしたことでも面倒と考える人が増えている現状から、オムニチャネル対応は必要になってくると予想されている。
実現するためにクリアすべきポイントは①在庫の一元管理、②価格の統一、③店員の教育。
これらを実現する物流システムを、各社目指していくことになりそうだ。
終章:物流戦略の4C
最後に、物流を考える上でのフレームワークが紹介されている。4Cは買い手目線の分析であり、それを物流を考える上で使いやすいように整理したものである。物流を間会えるうえで参考になりそうである。
下記は、同じ著者の記事がWebにありましたので、そこから引用させていただきました。
全体を通して
物流を狭義の意味で理解してはいけないといったところかもしれない。この書籍の中でも物流の具体的な手法の紹介の前に、どういった企業かといったことについて詳しく述べられている。
今回紹介された企業の中で共通する点としては、自社で行った方がいいことは自社内でやることにより、最適なシステムを構築しており、また物流に関する研究開発に積極的に投資している。
すべて自社内のリソースで賄うことは、近年難しいものとなっているが、どこまでアウトソーシングするかといったことは、ビジネスの全体をよく見たうえで把握しなければいけないと感じた。
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